派遣の抵触日と3年ルールとは?抵触日を迎えた後の働き方も紹介

働き方にはさまざまなものがあり、正社員やパート・アルバイト以外にも、派遣として働くことを検討している方もいるでしょう。

派遣には、労働者派遣法で定められた、「3年ルール」と言われるものがあります。この「抵触日」については、派遣でこれから働こうと考えている方や、すでに働いている方にとって、知っておきたい大切なルールの1つです。

本記事では、派遣の抵触日とは何か、3年ルールについて詳しく解説します。抵触日を迎えたあとの、派遣社員の働き方や、企業側の対応方法、注意点なども解説しますので、ぜひ参考にしてください。

派遣の抵触日とは何か?

派遣の「抵触日」とは、2015年に改正された「労働者派遣法」にあるルールの1つです。同一の事業所で、職務内容に関係なく「最長3年」しか働けないことから、「3年ルール」とも言われます。

「抵触日」とは、派遣期間を過ぎた最初の日であり、「法律で禁止されていることに抵触した日」のことを言います。例えば、2022年5月1日から派遣社員として就業開始した場合の抵触日は、2025年5月1日です。

「派遣」とは、一般的に「臨時的・一時的」な働き方だと考えられています。派遣の「抵触日」は、正社員の常用代替の防止と、派遣社員のキャリアアップ・雇用の安定を図るために改正されました。

なお、派遣期間の制限を超えると「法律違反」となるため、人材派遣会社・派遣先企業は派遣社員に対して、派遣の「抵触日」の通知義務があります。

派遣の抵触日は2種類

派遣の抵触日は、大きく分けて「個人単位」と「事業所単位」の2種類があります。それぞれのルールについてや、制限を受けない例外のケースについて見ていきましょう。

「個人単位」の期間制度

「個人単位」の抵触日とは、1人の派遣社員が、同じ職場・部署で働ける「派遣期間」のことを指します。例えば、「株式会社A事務所 東京支店 経理課」に派遣されていた方が、3年後に同じ職場の違う「人事課」に「部署移動」した場合は、再カウントされます。

「事業所単位」の期間制度

「事業所単位」の抵触日とは、1つの事業所で派遣社員を雇用し続けられる「派遣期間」のことを指します。3年後に事業所が派遣受入期間の延長をしなければ、新たに派遣社員を雇えません。

制限を受けない例外のケース

派遣の「抵触日」は、制限を受けない例外のケースもあります。次に当てはまる雇用が決まった場合は、「3年ルール」は該当しないことを知っておきましょう。

  • 無期雇用契約を締結している方
  • 60歳以上の方
  • あらかじめ契約期間が定められている方
  • 産前産後・育児休暇、介護休暇を取得している社員の代替業務を担当する方
  • 所定労働日数の半数以下・月に10日以下の雇用契約をしている方

「無期雇用契約」とは、雇用期限が設けられていない派遣社員のことです。ただし、有期雇用契約よりも給与が下がる可能性があるため、契約をする際には雇用契約をしっかりと確認しましょう。

そのほかにも、60歳以上の方が派遣社員で働くケースや、育児休暇・介護休暇を取る正社員の代わりに入る派遣社員なども対象外です。

【派遣スタッフ側】抵触日を迎えた後の働き方

派遣社員が抵触日を迎えたあと、大きく分けて3つの働き方があります。それぞれの働き方について紹介しますので、自分に合った次の働き方を見つけましょう。

派遣企業先から直接雇用の提案を受ける

抵触日を迎えたときに、これまでの働きぶりや実績が評価されれば、直接雇用の提案を受けるケースがあります。新しい正社員を雇って、仕事を1から教えるよりも、3年間働き続けた派遣社員を直接雇用に切り替えたほうが、企業側としてもメリットがあるからです。

ただし、直接雇用=正社員とは限りません。契約社員やパート・アルバイトとして直接雇用されるケースもあるため、打診を受けたときは必ず契約条件を確認しましょう。

人材派遣会社に他の企業を紹介してもらう

抵触日を迎えたあとに、同じ人材派遣会社に別の企業を紹介してもらう方法があります。

もし、派遣コーディネーターとの信頼関係が築けていれば、自分に合った仕事を紹介してくれるでしょう。

もちろん、これまでとは別の人材派遣会社に登録をして、自分に合った会社を探す方法もあります。長期間働くことを想定して、紹介予定派遣を狙うのもよいかもしれません。

人材派遣会社と無期雇用派遣の契約をする

派遣の「抵触日」は、雇用期間が定められている有期雇用契約の方が当てはまります。雇用契約期間に定めのない無期雇用契約なら、1つの企業・部署に長く勤められるでしょう。

無期雇用契約は、長期的なキャリア形成が図れる、スキルアップができるなどのメリットがあり、近年注目されている働き方の1つです。大きな違いは、契約期間以外にも、給与などが挙げられます。

有期雇用契約の派遣社員は、一般的に時給ですが、無期雇用契約は毎月決まった額の給与が受け取れます。人材派遣会社と無期雇用派遣の契約をするため、万が一に派遣先企業が決まらずに待期期間となった場合でも、給与が受け取れるのが特徴的です。

ただし、有期雇用契約と比べると給与が低くなる可能性があるため、契約する際には雇用契約の確認を必ず行いましょう。

【企業側】抵触日を迎える際の注意点

では次に、企業側の視点で、抵触日を迎える際の注意点を見ていきましょう。この見出しでは、派遣期間を延長したい場合と、抵触日を迎えたあとも、同じ派遣社員を雇用したい場合の2つについて解説します。

派遣期間制限を延長したい場合

前述したとおり、「事業所単位」の抵触日とは、1つの事業所で派遣社員を雇用し続けられる「派遣期間」のことを指します。したがって、派遣期間制限の延長を希望する場合は、手続きが必要です。

抵触日の1か月前までに意見を聴取する

まず、事業所単位の期間制限を延長する場合、「抵触日の1か月前までに意見を聴取」しなければいけません。意見聴取の流れは、次のとおりです。

  • 意見聴取する代表を選定する
  • 事業所が意見を述べるために必要な情報をまとめる
  • 書類を通知して意見書を得る
  • 結果を正確に記録し、社員に共有する
  • 派遣会社に意見聴取の結果を知らせる

労働基準法に基づき、意見聴取する代表を選定します。事業所が意見を述べるには、参考となる資料をまとめなくてはいけません。

なお、派遣可能期間を延長したい事業所は、その期間を書面で通知する必要があります。

一定期間を設けて、意見書があるかどうかを待ち、意見聴取後は、結果を正確に記録して社員に共有します。そのあとに、派遣会社に結果を知らせる流れです。

延長の手続きは各支店・各営業所ごと

抵触日を延長する手続きは、各支店・各営業所ごとに行わなくてはいけません。本社でまとめて手続きを行った場合、正しい意見聴取が行われなかったとして、延長が認められない可能性があるでしょう。

抵触日を迎えた後も同じ派遣社員を雇用したい場合

次に、抵触日を迎えたあとも、同じ派遣社員を雇用したい場合について、2つの方法を見ていきましょう。

直接雇用をする

派遣の抵触日以降も、同一の事業所・部署で同じ派遣社員を雇用したい場合は、「直接雇用」の申し込みが必要です。派遣期間が終了すれば、派遣先企業で直接雇用しても問題はありません。

ただし、働く側にとって派遣社員から直接雇用への移行は、給与が下がったり、正社員ではなく契約社員だったりと不利益を生じる可能性があります。必ず労働条件や契約内容について、双方が慎重に検討できる場を作ることが大切です。

別の課に異動してもらう

派遣の抵触日以降も、同じ派遣社員を雇用するには、「別の課に異動する」方法もあります。同一の企業でも、総務課から人事課への異動であれば問題ありません。

ただし、課や部署が変わることで、これまでのスキルが活かせなかったり、業務に慣れなかったりする可能性があります。直接雇用する場合と同じで、双方でしっかりと確認を取り、自身のスキルが最大限活かせる課や部署に異動させましょう。

派遣に抵触日が定められている理由

2015年の労働者派遣法において、派遣の「抵触日」が定められるようになりましたが、一体なぜなのでしょうか。この見出しでは、抵触日が定められている理由について、3つのポイントを解説します。

派遣とは臨時的な働き方だから

正社員は、派遣社員とは異なり、雇用が安定的でキャリア形成が図れるものです。一方で派遣は、「臨時的・一時的」な働き方として位置づけられています。

これは、正社員が「安価ですぐに雇用の調整ができるもの」として、安易に派遣に置き換わらないようにしているからです。

2015年に労働者派遣法が改正

労働者派遣法は、2015年に法改正があり、派遣社員を受け入れる場合においての「期間制限」が設けられました。正式には、「派遣労働者個人単位の期間制限」と言います。

労働者派遣法の改正のポイントは、次に挙げる5つです。

  • 派遣社員1人あたりの受け入れ上限は「3年」
  • 改正前の時点で契約していた派遣社員は、最新の派遣契約書の契約日=起算日となる
  • 3か月間の「クーリング期間」がある
  • 3年ルールが適用される「組織」の考え方
  • 同じ組織であれば別業務だとしても受け入れができない

2015年の法改正前から、派遣社員として長く勤めている方の場合は、最新の派遣契約書の契約日から3年ルールが適用されます。有期雇用契約の場合、一般的には3か月に1度更新があるため、直近で更新契約した日と覚えておくとよいでしょう。

また、「3年ルール」により派遣契約が終了した派遣社員でも、3か月間のクーリング期間を過ぎれば再び同じ契約が可能です。

派遣労働者のキャリアアップを促進するため

派遣の「抵触日」は、労働者のキャリアアップのために、「派遣社員が同じ部署で働くのは3年まで」と定めたものです。ただし、ケースによっては、「3年ルール」により、派遣社員のモチベーションが下がる可能性もあるでしょう。

「どうせ3年経ったら辞めるんだから…。」と、派遣社員に思わせないためにも、人材派遣会社が「安定した労働力」を確保できるように努力しましょう。

また、派遣社員も人材派遣会社を探す際には、次のポイントに気を付けるとよいでしょう。

  • 無期雇用に強い人材派遣会社を探す
  • 派遣会社と積極的にコミュニケーションを取る

無期雇用になれば、派遣社員は「3年ルール」の対象外です。人材派遣会社によっては、無期雇用の派遣社員を多く確保しているところがあります。また、人材派遣会社と積極的にコミュニケーションを取り、計画的に派遣契約の見直しや確認を行うことも大切です。

派遣の抵触日に関するよくある質問

派遣の「抵触日」は、人材派遣会社に登録する際に、必ず説明をうけますが、内容がよくわからない方も多いでしょう。そこで、この見出しでは、派遣の抵触日に関する「よくある質問」を2つ紹介します。

クーリング期間を経て同じ企業で働くことはできますか?

派遣のクーリング期間とは、法律上設けられている「期間制限」のことです。「3年ルール」にもとづき、契約満了した派遣社員が、派遣されていない状態で3か月経過すれば、再び同じ派遣先で働けます。

ただし、本来であれば、3年を超えて同じ派遣社員に働いてもらいたい場合は、「直接雇用」に切り替えてもらうのが望ましいでしょう。クーリング期間をむやみに利用するのは、労働者派遣法の趣旨に反するものと考えられます。

抵触日について誰から通知がありますか?

派遣の「抵触日」については、派遣先企業から派遣会社への通知義務と派遣会社から派遣社員への通知義務の2つがあります。

まず、派遣先企業は派遣会社に対して、派遣契約の締結をする際に、事前に事業所単位の抵触日を通知しなくてはいけません。これを怠ると、派遣可能期間の制限を超える可能性があるため、違反しないことを目的としています。

次に、派遣会社は派遣社員に対して、派遣契約を結ぶ際に「抵触日」について知らせる必要があります。一般的には、「就業条件明示書」に抵触日が記載されていますので、派遣社員もしっかりと内容を確認しておきましょう。

評判の良いおすすめの派遣会社

人材派遣会社は、多くの種類があるため、自分に合った派遣会社を探すのはとても大変です。この見出しでは、評判の良いおすすめの派遣会社を5社紹介します。ぜひ、派遣社員を目指している方は、参考にしてください。

スタッフサービス

スタッフサービスは、人材派遣会社のなかでも求人数・職種数が多いことで人気があります。一般事務や営業事務以外にも、医療事務やITエンジニアなど多くの職種を取り扱っているので、やりたい職種が決まっている方におすすめです。

派遣登録後に面談を行いますが、そのあとにすぐ求人紹介してもらえるので、タイミングが合えばすぐに仕事を開始できるでしょう。

また、スタッフサービスでは、仕事で役に立つスキルが身に付く「e-ラーニング」のビジネススクールを開講しています。パソコンやスマートフォンがあれば、自宅で簡単に勉強できるので、スキルアップにも役立つでしょう。

パーソルテンプスタッフ

全国各地に拠点があり、派遣登録がしやすいパーソルテンプスタッフ。気になる求人があれば、面談付き登録をすることで、詳しい仕事情報が聞けます。

テンプスタッフの強みは、派遣社員向けの福利厚生が充実していることです。健康診断や社会保険加入、有給休暇はもちろんのこと、宿泊施設や海外旅行サービス、賃貸住宅のサービスも取り扱っています。

また、創業者が女性ということもあり、女性の派遣社員が仕事をしやすい制度を多く設けているのも特徴的です。ベビーシッターサービスやハウスクリーニングなど、割安で利用できるので、仕事と育児を両立させたい方におすすめです。

アデコ

アデコは、語学系・外資系の求人を多く取り扱っている人材派遣会社です。登録後にテストを行い、自身の英語力のレベルをチェックしたうえで、レベルに合わせた仕事を紹介してくれるのでとても安心です。

英語力が必要な職種の場合、事前に英文のレジュメを用意するなど、手厚いサポートを行ってくれるのも嬉しいポイント。登録後のテストも、単に結果を伝えるだけではなく、不足している部分のアドバイスをくれるので、転職活動にも役立つでしょう。

仕事が決まったあとも、営業担当者とコーディネーターが同じなので、スムーズなコミュニケーションが可能です。英語力を活かした派遣を探している方に、とくにおすすめする派遣会社です。

パソナ

パソナは、キャリアアドバイザーの質が高く、サポートが手厚い人材派遣会社として多くの方に評価されています。面接や履歴書・職務経歴書などの書類作成の指導に力を入れているので、派遣面談が苦手な方におすすめです。

また、パソナで取り扱っている求人は、その半数以上が「非公開案件」です。パソナに登録しないと求人がチェックできないため、好条件の求人を見つけられる可能性も高いでしょう。

パソナでは、希望をすれば女性のキャリアアドバイザーを付けることも可能です。男性のキャリアアドバイザーでは、相談しにくい悩みや事情も、安心して話せるので、女性にも多くの人気があります。

リクルートスタッフィング

リクルートスタッフィングは、人材業界最大手の「リクルート」が運営している人材派遣会社です。大手企業・優良企業の求人が多く、楽天や電通、KDDIなどの企業からの求人があるため、大手企業で働いてみたい方におすすめです。

スキルアップのための研修制度が手厚く、「e-ラーニング」や「クラスルーム研修」も充実しています。大手スクールとも提携しているので、特別優待価格で語学や資格の勉強もできるでしょう。

また、新型コロナウイルスの感染拡大により、テレワーク対応求人も多く取り扱うようになりました。企業の方針により、詳細条件や出社頻度は異なりますが、状況に合わせた求人紹介も可能です。

まとめ

派遣の「抵触日」は、2015年に法改正された労働者派遣法にあるルールの1つです。派遣の抵触日には、大きく分けて「個人単位」と「事業所単位」の期間制度の2つがあります。

派遣社員が派遣の「抵触日」を迎えたあとは、主に次に挙げる働き方があります。

  • 直接雇用の提案を受ける
  • 他の企業を紹介してもらう
  • 無期雇用派遣の契約をする

派遣先企業で確かな実績があれば、企業側から直接雇用の話があるかもしれません。ただし、その場合は契約条件をよく確認して、給与や待遇面の話し合いが必要です。

また、人材派遣会社と無期雇用派遣の契約をすれば、派遣の「抵触日」の例外となるため、「3年ルール」を気にしなくても大丈夫です。人材派遣会社によっては、無期雇用派遣を積極的に行っているところもあるので、意識して探してみるのもよいでしょう。

本記事で紹介した、おすすめの人材派遣会社5社の特徴やメリットを確認して、ぜひ自分に合った派遣会社を探してみてください。

※本記事の情報は2022年5月時点のものです。
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<参考>
スタッフサービス
パーソルテンプスタッフ
アデコ