期間工といえば「短期間でまとまったお金を稼げる」イメージを持っている方が多いと思います。
月給に加えて契約期間を満了すれば、満了金や在籍手当が支払われるため、多くの年収が期待できます。
しかし月給が高くなる大きな理由は「残業手当」と「深夜勤務手当」が支給されるからなので、手当が支払われなければ高収入になりにくい仕事です。
ただ中には「深夜には働きたくない」「日勤だけを希望したい」という人もいるでしょう。
そこで日勤のみの期間工で働くメリットとデメリットや、どういった求人があるのかなどを具体的に紹介していきます。
日勤のみのメリット
まずメリットとして考えられるのは、なんといっても体力面です。
2交代や3交代の勤務で働く時間帯が週単位や月単位で変わると、どうしても体のリズムはおかしくなります。
深夜勤務は体力的に厳しいため、日勤のみの勤務と比べると差は歴然です。
「体力的にそれほど自信はないけど期間工として働きたい」という人にとって、日勤のみというのは良い条件かもしれません。
また規則正しい生活を続けられるため、長く続けやすいのもメリットです。
よほど体力に自信がない限りは、2交代や3交代の勤務を長期間続けていると厳しくなってきます。毎日昼間に働けば、安定して続けられます。
気になる給与面ですが、もちろん残業手当や満了金、在籍手当などは普通にもらえます。
夜勤ありに比べても、そこまで不利な条件というわけではないのかもしれません。
日勤のみのデメリット
次にデメリットを考えていきます。
もっとも大きいのは交代手当や夜勤手当が発生しないため、ほとんどの企業で2交代や3交代勤務と比べると給料が低くなってしまうことです。
単純に「とにかく稼ぎたい」という人には、向いていないといえるかもしれません。
また普通の会社員でも同じことがいえますが、平日の朝から夕方まで勤務することになるので、市役所や銀行などへ手続きに行く際などは休暇を取らなければいけません。
2交代や3交代の勤務であれば、朝から夕方が休みのときも頻繁にあるので、規則正しいことが逆に不自由となります。
さらに「どの時間帯でも働きます」という人と比べると、採用されにくいのも現実です。
とはいえ後で紹介しますが、なかには日勤だけの募集もあります。
しかし期間工の主力となる自動車の組み立て工場などは、2交代や3交代の勤務の募集が圧倒的に多く、どの時間帯でも働ける人と同時に採用面接に行けば明らかに不利です。
やはり企業や工場側からすれば、どの時間帯でも働けて残業もしてくれる人の方が、ありがたいと感じるのは当然でしょう。
さらに寮などの設備の問題もあります。
2交代や3交代の勤務の自動車工場などでは、寮が完備されているのがほとんどです。
派遣会社や企業によっては家電などもあるので、何も持たずに寮に入って生活しながら期間工として勤務できます。
日勤のみの工場は近隣の主婦などが勤務することも多くあるため、寮があったとしてもそれほど設備が良いとはいえないかもしれません。
寮に入っての勤務を考えている人は、特に注意して応募することが重要です。
実際の日勤とは?どのように働く?
日勤は8時~17時、もしくは8時半~17時半という時間帯での勤務がもっとも多くなっています。
しかし常に忙しく稼働している工場や繁忙期は、残業を頼まれるかもしれません。
たいていは1時間ほどですが、2時間~3時間の残業がある場合もあるので覚えておきましょう。
もちろん残業は何か用事があれば断ることも可能ですが、毎回残業を断っていると社員や同僚からはよく思われないでしょう。
工場での勤務は色々な事情で残業することが多く、残業できない人が多いと大きな痛手になってしまうからです。
その原因としては、以下のことが考えられます。
- 製品の売り上げが好調だから増産体制に入る
- 新商品の販売などが絡む
- ラインが故障して操業できなかった分を取り返すためフル稼働させる
特に操業できなかった分を取り戻すということは、それなりの頻度で起こりえます。その期間は残業が多く、土曜日の出勤も依頼される場合がほとんどです。
そういった時期の月給は普段よりも10万円~20万円ほど高くなることもあり、期間工の年収アップに大きく関係しています。
そしてどの業界でもそうですが、基本的に「後工程ほど日程が厳しい」のが常識です。
例えば建築業界では、以下のような順番で内装工事は進みます。
- 建物を建てる
- 配管工事などを行う
- 壁のクロスや床のタイルを貼る
工期は決まっているので「建物自体を立てる」「配管工事を行う」段階で工期が遅れていけば、そのしわ寄せは後工程の内装工事にかかってくることになります。
工事に取り掛かるのは遅くなったのに、工期が決まっているため、かなり厳しいスケジュールになってしまうのです。
工場での勤務も同様で、前工程で遅れが発生した場合、日程が厳しくなるのは後工程です。後工程の部署に配属されると、残業や休日出勤の割合が多くなります。
日勤の注意点
一度配属されると、基本的に契約期間内はずっと同じ場所で勤務するということには注意が必要です。
何かトラブルがあったなど、自分からよほど強く配置転換を望まない限りは、同じ部署で勤務します。
たとえ同じ工場であっても製造ラインによっては、常に残業が当たり前な部署と、毎日ほとんど定時で勤務が終了する場所があります。
家庭や子供の事情で「あまり夜までは働けないから日勤を希望している」という人が、常に残業が多い部署に配属されると、雇用側も労働者側も不幸です。
もし勤務時間に制約があって残業を毎日できないのであれば、配属場所が確定する前に希望を出した方が良いでしょう。
逆に残業は問題ないのであれば、それも希望として出しておきましょう。
希望通りになるとは限りませんが、ある程度の要望は聞いてもらえる場合もあります。
日勤のみが多い業種とは?
日勤のみで募集しているのは、どういった業種が多いのでしょうか。
先ほども述べたように、自動車の組み立て関係の工場では2交代や3交代の勤務が多いために、日勤のみという募集は少なくなっています。
日勤のみが多い業種となると、食品工場や化粧品工場になります。
勤務しているのが主婦が多いということもあって、女性の割合が多いのが特徴です。
一部の食品工場では、早朝から昼過ぎまでという時間帯も存在します。完全な日勤とはいえませんが、夜勤や深夜勤務ではありません。
早朝勤務手当が発生する場合があるので、求人要項をチェックしましょう。
一般的に日勤が多いのは時期などによって大きく生産量が変化せず、安定して一年中決まった量を生産しているような業種です。
こういった業種では夜中も稼働しないといけないことは少なく、急激に生産量を増やさなければいけないこともないため日勤のみの勤務になります。
同じ理由で残業も少なく、勤務地も比較的都会に近い場所にあります。街中にあることも不思議ではありません。
24時間体制で稼働している工場は騒音などの問題があって、街に作れませんが昼間だけの稼働の工場であれば問題ないからです。
勤務している人に主婦など女性が多いことを考えると、街にあった方が便利という事情もあります。
日勤のみだと給料面はどうなる?
やはり働く以上どうしても重要になるのは給料面です。
実際に日勤のみで勤務すると、どれくらいの給料を得られるのでしょうか。
実は「基本給」だけで考えた場合は、日勤も夜勤もあまり変わりません。
自動車の工場では時給1,000円を超えているところがほとんどで、時給1,200~1,400円というところもあります。
最近増えている工場専門の派遣会社から派遣される場合は時給が高めに設定されており、派遣会社の福利厚生を受けられる場合があります。もちろん日勤や夜勤の違いはありません。
しかし月収や年収で考えると、どうしても深夜勤務よりは低くなってしまいます。
日勤だと「残業手当」「深夜勤務手当」「深夜残業手当」の一部が、一切期待できないからです。
日本の法令で「残業手当は基本給の1.25倍~」というものがあります。
例えば時給が1,000円の人であれば、残業手当は1,250円です。残業があると稼げるというのは、こうして働いた分が割り増しで支払われるからです。
深夜も同様で「夜10時~朝5時まで」は「深夜勤務」になるため割増料金です。
日勤で8時間働くのと深夜に8時間働くのでは、大きく給料が変わってきます。
よくコンビニなどで深夜バイトの時給が高くなっていますが、あれはこういった理由によるものです。
さらに大きいのが「深夜残業手当」です。
もしも割り増しがかかっている「深夜」にさらに「残業」したらどうなるのか。答えは「割り増し金額がさらに割り増しされる」です。
元々の時給や日給が高い人が深夜に働くと、かなりの給料が稼げます。
しかし日勤は「深夜勤務手当」と「深夜残業手当」が発生しないため、大きく給料がアップするきっかけがありません。
また「3交代勤務のうちの日勤のみ」という条件で勤務している日勤の場合、残業しても良いと思っていても、定時になると次の時間帯の勤務の人が来ます。
残業したくてもできないので、「残業手当」も期待できません。
これらの理由で、日勤のみの勤務だとあまり稼げないのが一般的です。
日勤のみの期間工はどのような人に向いている?
今まで述べてきたように「日勤のみ」と「どの時間帯でも働く」では、給料に大きな差がでてきます。
しかし日勤の方が圧倒的に働く時間が短いので、以下のような人には非常に向いています。
- 体力的に自信がない
- 規則正しい生活を送りたい
- 深夜や早朝は事情があって働けない
逆に時間帯や勤務時間など関係なく、とにかく稼ぎたい人は日勤のみの期間工は向いていません。
しかしそれであれば普通にアルバイトやパートでも同じでは?と考える人もいるかもしれませんが、実は大きな差があります。
まずシフト制などでは、絶対に自分が希望する時間で勤務できるとは限らないため、月の収入が一定しません。
期間工として勤務すれば安定して勤務でき、収入も安定します。
また普通のアルバイトでボーナスをもらえることはほぼありませんが、期間工として契約を満了すれば「満了金」「在籍手当」などの名目で、まとまったお金が支給されます。
だいたい30万円以上になり、多い人は50万円近くになることもあります。
こうした「安定した月収」「各種手当によるボーナス」は、期間工ならではのメリットです。
日勤のみの期間工の求人について
期間工の求人は夜勤や2交代・3交代のところがほとんどですが、中には日勤のみの求人も存在します。
工場は24時間稼働のところも多いですが、主婦や夜間働けない人のために日勤のみという求人も存在します。
日勤のみの求人は主婦だけではなく、体力的に自信がない男性や、夜間は自分の時間に充てたいといった人もエントリー可能です。
夜勤の勤務は、家庭の事情や体力的にきついといったケースも多いでしょう。
では実際に期間工の日勤のみの求人は、どういった求人があるのでしょうか。
関西でおすすめな求人「ダイハツ」
関西でおすすめなのが、ダイハツの求人です。入社祝い金もついています。
平日の日勤希望でかつ土日も休みなんて、こんないい勤務時間はなかなかありません。
事務職などではそうした求人も存在しますが、なんといっても給料の良さが魅力です。
事務職の2倍近い賃金をもらえます。
また期間工の勤務は経験を問われないことも多いため、キャリアがない人でも就職しやすいのが特徴です。
職歴がない人や事情があって長らく働いていなかった人は、期間工で働いてみるのも良いでしょう。
関東でおすすめ「UD」
関東であれば、トラックメーカーのUDの求人も良いでしょう。
こちらは車通勤も可能となっています。
車好きの人は、通勤も車がいいといった人が多いのではないでしょうか。
新宿から近く電車で39分ほどの駅近くにあり、仕事終わりに新宿へ遊びに行けます。
作業場にはお風呂もあるので、仕事終わりにはお風呂に入ってゆっくり休めます。
都心周辺でおすすめ「三菱ふそう」
日勤希望で都心周辺の寮希望の人は、三菱ふそうもおすすめです。
寮に2万円と格安家賃で住めます。1人暮らしを経験したい人や、都心周辺に住みたい人は、三菱ふそうへの入社を検討するのも良いでしょう。
また自宅から通勤する人に対しても補助を出しており、住宅手当を5万円もらえるので、家族で暮らしたい人や、自分でアパートを探したい人にもおすすめです。
このように日勤のみの期間工でも、待遇の良い求人はあります。日勤ならプライベートな時間や家族との時間を確保しやすいので、主婦をはじめ様々な人が働きやすい環境です。
期間工の日勤を始める前に確認しておきたいこと
期間工の日勤にエントリーする前に、以下の3点を確認しておきましょう。
1.作業内容
期間工の仕事は製造がメインなので、作業内容は部品組み立てなどが主な作業です。
夜勤や残業が多い企業もありますが、勤務時間の相談に乗ってくれるケースもあるので、ダメ元で相談してみるのも悪くはありません。
人手が足りないケースでは、そうした場合も採用してくれる可能性があります。
2.会社の待遇
待遇は各社によって異なります。求人もいろいろあり、中には好待遇のところもあります。
企業によって勤務地は異なり、当然ながら手当も異なります。
給料以外に手当などが支給される場合もあるので、制度内容についてよく調べてみましょう。
なお、愛知あたりは好待遇のところが多い傾向にあります。
また入社祝い金は期間工で働くうえで、重要なポイントです。金額は各社バラバラなので、必ず確認しましょう。
3.寮費
寮費が無料なところもあれば、有料のところもあるので、必ずチェックしましょう。
また1人部屋かどうかもポイントです。
家族構成の関係で寮ではなく家を借りたい場合、住宅手当が出るかどうかも調べましょう。
4.事前に用意するものは?
求人への応募は、当然ながら履歴書が必須です。
履歴書は1通作成しておけば違う会社でも流用できるので、早めに作成しておきましょう。派遣会社からもエントリーしておくのもおすすめです。
期間工の日勤はこんな人におすすめ
期間工の日勤勤務は、以下のような人におすすめです。
それぞれ見ていきましょう。
1.子育て中の主婦
平日のみの勤務を希望している人は、日勤の期間工がおすすめです。
フルタイムで仕事をしたいのに、なかなか採用してもらえない人もいるでしょう。
女性の場合は事務職の希望が多いかと思いますが、事務職は倍率が高く厳しいものとなっています。
また主婦の場合、子供との時間を大事にしたいと考える人も多いことでしょう。
日勤の期間工なら土日休みで給料もいいので、働きやすい環境となっています。
長期休暇や有給の制度もあるので、授業参観なども出席できます。時間とお金の優先度から考えると、期間工勤務も悪くない選択です。
2.長期休暇が欲しい人
例えば夏休みなど長期休暇は、仕事をしないで家にいたい人が多いでしょう。
長期休暇前に仕事を辞められるように、期間を調整して働けます。実家に長く帰省したい人も、この働き方はおすすめです。
期間満了あるいは自分で期間を区切って1度退職して、また再度雇用してもらうことも可能です。
よほど勤務態度が悪いなど問題がない限りは、再度雇用されるケースは結構あります。
夜勤や残業ありの勤務よりも給料は下がりますが、日勤も条件面でかなり良いので、この機会に検討してみるのも良いでしょう。
3.体力に自信がない人
期間工の勤務は交代制のところがほとんどです。
夜勤があると給料はいいのですが、生活面で大変なところも少なくありません。
体力に自信がない人は、日勤の勤務で仕事を探してみるといいでしょう。
4.残業を断りたい人も期間工はできる?
家庭の事情で残業を断りたい人もいることでしょう。
面接では「子供が熱を出したら誰か見てもらえますか?」といった質問を受けるなど、子供がいる女性は肩身の狭い思いをするのが現状です。
女性も働ける環境といいつつも、子持ちの主婦の場合何かと制限があるため、職場はどうしても限られてしまいます。
残業がなく勤務時間がある程度融通が利くところを選ぶと、主婦も働きやすいでしょう。
まとめ
期間工といえば「2交代・3交代で働く」「夜勤がつきもの」というイメージが強いですが、日勤のみという求人も存在します。
プライベートな時間が取りやすかったり、生活サイクルが整いやすかったりというメリットがあるものの、夜勤と比べると残業手当や深夜手当、休日手当といった各種手当が少なくなってしまい稼ぎにくいのが現実です。
自分の性格や体力を考えて、自分に合った勤務スタイルを選ぶのが重要です。