期間工は、未経験で専門知識やスキルがなくても、誰でも短期間で大きく稼げるため、開業や本来やりたい夢の資金を貯められます。
しかし肉体的にきついなどのデメリットが目立ちますが、実はデメリットを克服する方法もあります。
例えば体力に自信がなければ、車の製造ではなく「部品メーカー」を選んだり、寮生活に不安があるなら「完全個室の寮を完備している会社」に応募したりと、やり方次第で働きやすい環境に身をおけます。
また考え方を変えるだけでデメリットを克服できる可能性もあるので、期間工に対して不安を抱えている人は、ぜひ参考にしてみてください。
この記事では、期間工のデメリットを克服する方法や考え方、人生が変わるようなメリットなどをご紹介します。
そもそも期間工とは?
期間工とは、メーカーと直接雇用契約を結び、工場で短期間勤務する契約社員のことです。主に自動車メーカーが期間工を募集しており、食品メーカーや精密機器の求人もあります。
増産や納期が短い商品の生産を目的にしており、3ヶ月〜1年程度の短いスパンで雇用期間が区切られており、メーカーは一時的な労働力として期間工を募集します。
短期間の契約のため業務内容は簡単で、日給や時給が高く設定されていることが期間工の特徴です。
受注量や景気によって募集が止まる場合もありますが、大手メーカーであれば常時募集がかけられている傾向にあります。
ただし派遣会社と雇用契約を結び、派遣社員として工場で働く場合は、契約社員の期間工と給料面の条件が異なるため、混同しないよう注意してください。
期間工の6つのデメリット
期間工は工場勤務のため、肉体的にきついほか、精神的なストレスや働ける期間が短いなどのデメリットがあります。
具体的なデメリットは以下のとおりです。
それぞれの具体的な内容や、デメリットを克服する方法・考え方もご紹介するので、期間工に対しての不安を解消しましょう。
働ける期間が決められている
業務内容が簡単で、日給や時給が高く設定されてる期間工ですが、長く働けないことがデメリットの一つです。
期間工は「有期雇用契約」であり、雇用期間が決められているため、働きたくても長期間は働けません。有期雇用契約とは、会社と労働者が期間を決めて労働契約を結ぶことで、原則3年間のみ働けます。
労働契約は、期間の定めのないものを除き、一定の事業の完了に必要な期間を定めるもののほかは、3年(次の各号のいずれかに該当する労働契約にあつては、5年)を超える期間について締結してはならない。
出典:労働基準法第14条「第2章 労働契約」
具体的な契約期間は、3ヶ月や6ヶ月と会社によって異なり、多くのメーカーは契約を更新すれば、最大で「2年11ヶ月」働くことが可能です。
ただし会社の経営が良くなかったり、勤務態度が悪かったりすると、そもそも契約を更新してもらえないケースがあるため、正社員のような安定性はありません。
とはいえ正社員のような責任を負う必要がなく、退職時は一般企業のような引き継ぎが不要なので、気楽に働ける環境です。
「正社員時代のような責任を負いたくない」「気楽に仕事したい」人は、期間工が最適な職業といえるでしょう。
仕事内容が肉体的にきつい
期間工は仕事内容が肉体的にきついため、体を壊すケースもあります。
基本的に期間工は立ち仕事であり、業務内容によっては中腰や立ったりしゃがんだりを繰り返すので、肉体的にきついでしょう。
メーカーによっては夜勤や残業があり、不規則な勤務形態であることも、期間工がきつい理由の一つです。
また自動車メーカーでは、以下の5つの部署に別れており、組立が最もきついといわれています。
- プレス
- 溶接
- 塗装
- 組立
- 検査
組立は「長時間無理な姿勢でネジを締めるのがきつい」「ベルトコンベアの流れに追いつけず、追いかけながら作業するのはきついし、定位置に戻るまでも疲れる」など、肉体的な疲労が激しいため慣れるまでは筋肉痛になるでしょう。
期間工は働く部署を自分で選択できないため、きつい部署に配属された場合、就業後はお風呂にゆっくり浸かったり、栄養のある食事を摂ったりと体を労わるようにしてみてください。
なお期間工の中でも「部品メーカー」であれば、肉体的にきつい業務内容を避けられます。
部品メーカーは、車体ではなく部品を主に扱っており、細かい作業がほとんどのため肉体的な疲労を軽減できます。
力仕事が苦手な人や女性でも求人を募集しているので、肉体的にきつい業務を避けたい場合は、部品メーカーの期間工もチェックしてみましょう。
仕事が単調で精神的にきつい
期間工の業務内容は単純作業が多く、毎日同じ仕事を繰り返すため、精神的にきついと感じるケースもあります。
勤務したては覚えることが多いものの、慣れてくると作業に対して飽きやつまらなさを感じるでしょう。
また作業がつまらないと、時間が経つのも遅く感じるので、精神的に疲れることもあります。
とはいえ期間工は誰にでもできる単純作業を毎日繰り返すので、専門知識がない人や頭を使う仕事が苦手な人には働きやすい職業です。
作業環境が良くない
期間工として働く工場は屋内であり、夏は暑く冬は寒い中で作業するため作業環境が良くありません。
もちろん冷暖房は完備されていますが、特に夏は熱中症になる恐れがあり、充分に注意する必要があります。
熱中症対策として、スポットクーラーが完備されているケースもありますが、広い工場内の温度を適温に整えるのは難しいでしょう。
ただし塗装や精密機器を扱っている工程は、商品を良好な状態で保つために、十分に冷暖房が効いた中で仕事できる部署もあります。
作業環境が良くない部署に配属された場合、暑い日は水分をこまめに摂り、体調に気をつけましょう。
寮生活や人間関係がストレスになる
期間工は、寮生活や人間関係がストレスになる可能性があります。
メーカーによっては寮が相部屋になるケースがあり、同僚に気を遣ったり生活音が気になったりと、しっかり休めないかもしれません。相部屋だと、3DKや4DKのアパートを数人でシェアするようなイメージです。
同僚に気を遣わずにゆっくり休みたい場合は、完全個室の寮を完備しているメーカーに応募しましょう。
部屋の掃除や食事の支度までしてくれるメーカーもあり、ビジネスホテルに住んでいるかのように生活できるため、しっかりと心と体を休ませたうえで働けます。寮環境は、会社のホームページや募集要項をチェックしてみてください。
また「短期間しか働かないから」と、積極的にコミュニケーションを取らない人もいるので、同僚との関係が上手く構築できず、人間関係で悩むケースもあります。
無理に仲良くする必要はありませんが、トラブルにならないよう、挨拶をきちんと行い最低限のマナーは守るようにしましょう。
スキルが身につかない
期間工の業務内容は専門知識が不要で、未経験でもできる単純作業のため、キャリアアップに活かせるスキルはあまり身につきません。
期間工で覚えた業務内容を武器に、転職活動しても上手くいかないでしょう。
契約満了後に専門職に転職したい場合は、働いている間に勉強したりスキルアップしたりする必要があります。
とはいえ期間工の多くは、自分の目的のために高額な貯金をしたい人がほとんどです。例えば、お店の開店資金や会社の起業資金など、時間と引き換えに高額な資金を得たい人が多い傾向があります。
期間工で得た報酬を、専門職に就くための学費や当面の生活費に回すことも可能です。期間工として働いている間は、キャリアにとらわれず、自分が本当にやりたいことの準備期間として求人に応募すると良いでしょう。
もし貯金のために期間工で働くケースでない場合は、契約満了後に路頭に迷わないように、就業後や休みの時間を活用して勉強やスキルアップ、副業などに努めるのがおすすめです。
デメリットを克服すれば期間工は人生が変わる!5つのメリット
期間工のデメリットを克服すれば、人生が変わるようなメリットを得られます。
具体的なメリットは以下のとおりです。
期間工で大きく稼いで、自分の夢や目的を達成させましょう。
サラリーマンより稼げる
期間工は、日給や時給が高く設定されており、給料以外の手当も豊富なため一般的なサラリーマンよりも稼げます。
日給や時給が高く設定されているほか、夜勤や残業があると時間外手当や深夜手当が加算されるため、メーカーによっても異なりますが月25〜35万円程度稼ぐことが可能です。
給料以外にも入社祝い金や満了金など、メーカーによっては合計で50万円以上の手当も支給されるので、年収400万円以上を実現できるケースもあります。
また、正社員と同様に6ヶ月経過すれば有給を取得でき、一定の条件をクリアすれば社会保険にも加入できます。
給料が高いのはもちろん、ボーナスに相当する手当が受け取れ、待遇面も良いことが最大のメリットです。
未経験でも大きく稼げる
期間工はスキルや学歴が問われないため、未経験でも大きく稼げます。
一般的な企業の場合は、未経験者でスキルがないと、満足のいく給料を受け取れません。
また学歴がないと、雇ってくれない企業も中には存在します。
経歴も問われないので「学歴はないけど大手企業で働きたい人」「ブランクがあるから就職できるか不安な人」でも活躍でき、大きく稼ぐことが可能です。
貯金を蓄えられる
寮費や光熱費を負担してくれるメーカーもあるため、給料のほとんどを貯金に回せます。
寮費や光熱費以外にも、食事費用の補助や格安の食堂を完備しているメーカーもあるので、生活費を抑えやすくなっています。
期間工の平均年収が「400〜500万円」程度あることに加え、出費を格段に抑えられるため、上手に節約すれば大きな金額を貯金できる環境です。
寮費や光熱費、食事費用が自己負担の場合、生活費だけで年100万円以上も消費してしまうため、期間工は貯金にしやすい環境が整っています。
ただし貯金しやすい環境で余裕ができたからといって、金銭感覚が変わらないよう気をつける必要があります。
無駄なお金を使ってしまっては、自分の目的や夢に向けた軍資金を貯められません。無駄使いせずに軍資金をしっかり貯めて、契約満了後に良い再スタートができるよう意識しましょう。
また期間工で働きながら、副業や投資でさらにお金を増やせると、より多くの軍資金を蓄えられるでしょう。
大手企業の正社員になれる可能性がある
メーカーによっては「正社員登用制度」を設けているため、大手企業の正社員になれる可能性があります。
契約満了を迎えると期間工は「辞める」または「契約を更新する」の2つの選択肢があり、最大で2年11ヶ月しか勤務できません。
しかし正社員になれば長く働くことができ、会社の業績に左右されず、安定した収入を得られます。
例えば大手のトヨタであれば、年収450〜500万円程度稼ぐことが可能です。入社後の住居・食事のサポートのほか、退職金制度や託児所の設置など、福利厚生も充実しているので待遇面も期待できます。
毎月安定した収入があり、社会的な信頼性も高まるため、ローンの審査に通りやすくなることも正社員になるメリットの一つです。
ただし正社員になるには、社内で実施される試験を受ける必要があります。試験内容は、国語や数学などの筆記試験の「学科」と「面接」があり、合格しなければ正社員になれません。
また試験を受けるには、上司からの推薦が必要なため、日々の勤務態度に注意する必要があります。
「特に夢や目的がないし、工場の業務内容が自分に合っているからこのまま続けたい」と思った場合は、上司から推薦をもらえるよう日々真面目に取り組んで、正社員登用を目指してみてください。
待機期間なしで失業保険がもらえる
期間工の契約満了後は、自己都合退職にならないため、7日間の待機後に失業保険を受給できます。
自己都合退職とは、労働者から会社に辞める旨を伝えて退職することで、転職や結婚、病気の療養などが該当します。自己都合退職をした場合、7日間+2〜3ヶ月の待機期間があるので、当面は貯金を取り崩して生活しなければなりません。
しかし期間工は退職後7日間経てば、失業保険が支給されるため、生活費の心配が少なくて済みます。
また失業保険は、転職活動期間中の金銭面の不安を軽減できるため、特に転職する場合は受給がおすすめです。
ただし受給するには、雇用保険に1年間加入する必要があり、1年未満しか働かなかった場合は利用できないことを把握しておきましょう。
期間工が向いている人の特徴
期間工のデメリットやメリットを把握しても、自分に向いているのか判断できず、不安を解消しきれていない人もいるでしょう。
期間工が向いている人の特徴は以下のとおりです。
それぞれ詳しくご紹介するので、参考にしてみてください。
短期間で大きく稼ぎたい人
短期間で大きく稼ぎたい人は、期間工に向いています。
なぜなら期間工は、月25〜35万円程度稼げるほか、入社お祝い金や満了金などの手当が受け取れるからです。
手当の金額はメーカーによって異なりますが、相場は「20〜50万円」です。月収に加えて手当を受け取れると、年収400万円以上を実現できます。
またメーカーによっては寮費や光熱費の負担、食事費用の補助をしてくれるため、契約期間中の生活費は最小限に抑えられます。
契約期間中の生活費がほとんど発生しないので、短期間で大きく稼げるほか、無駄使いしなければ多額の貯金ができるでしょう。
「すぐに開業費や起業資金を貯めたい」「多額な借金を短期間で返済したい」など、大きく稼ぎたい人は期間工に応募してみてください。
体力に自信がある人
期間工は、体力に自信がある人に向いています。
なぜなら配属される部署によっては、肉体的にきつい業務内容になる可能性があるからです。
例えば車を組み立てる部署の場合、業務中は中腰や立ったりしゃがんだりを繰り返して製造する必要があるため、肉体的な疲労に悩む人もいます。
中には肉体的にきつくない工程もありますが、配属される部署は基本的にメーカーに決められるので、自由に選択できません。
しかし、体力に自信があればどのような部署でも、問題なく働けるでしょう。
また契約満了を迎えずに途中で辞めてしまうと「満了金」を受け取れません。
体力に自信があることは、期間工で大きく稼ぐのに重要なポイントのため「スポーツや体を動かすことが好き」「普段から筋トレやランニングをしている」人は、ぜひ応募してみてください。
なお、体力に自信がないけど大きく稼ぎたい人には、部品メーカーの期間工がおすすめです。部品メーカーは、車の製造ではなく部品を主に取り扱っており、細かい作業が多いので肉体的な疲労を軽減できます。
地元から離れて寮で生活できる人
地元から離れて寮で生活できる人は、期間工に向いています。
工場周辺に住んでいる場合は、自宅から通うことも可能ですが、基本的にメーカーが指定した寮で生活しなければなりません。
寮に入らずに自分で賃貸を契約すると、家賃や光熱費などを自己負担する必要があり、生活費を抑えられないので貯金に回せる金額が少なくなります。
またメーカーによっては、部屋が相部屋でお風呂やトイレが共同のため、神経質でない人も期間工に向いています。
「両親の介護が不要でいつでも寮に入れる」「地元以外の土地で仕事をしつつ生活してみたい」という人は、期間工に応募してみましょう。
まとめ
期間工は最大2年11ヶ月しか働けないことや、肉体的・精神的にきついデメリットがあります。
作業環境の悪さや、寮生活がストレスになる可能性もあり、次の転職で武器になるスキルが身につかないことも、期間工のデメリットの一つです。
とはいえ未経験でも短期間で大きく稼げるほか、貯金がしやすい環境に身をおけるので、開業や起業の資金を貯めたり、本当にやりたいことを学ぶための学費に充てたりできます。
デメリットを克服すれば、期間工で得たお金を次のステップに活用できるので、人生が良い方向に変わるでしょう。
自分に務まるのか不安な人は、契約期間が3ヶ月〜6ヶ月程度の短期のメーカーで、まずは期間工に挑戦してみてください。